yama1931’s blog

長編小説とエッセイ集です。小説は、明治から昭和の終戦時まで、寒村の医療に生涯をささげた萩市(山口県)出身の村医師・緒方惟芳と彼を取り巻く人たちの生き様を実際の資料とフィクションを交えながら書き上げたものです。エッセイは、不定期に少しずつアップしていきます。感想をいただけるとありがたいです。【キーワード】「日露戦争」「看護兵」「軍隊手帳」 「陸軍看護兵」「看護兵」「軍隊手帳」「硫黄島」※ご感想や質問等は次のメールアドレスへお寄せください。yama1931taka@yahoo.co.jp

たいぎ

                    

 非常に大型の台風14号が山口県を直撃する、とテレビでしきりに予報していたので、上下階の7つの雨戸を全部閉めて準備だけはしていたが、幸いにも大したことはなくて通過した。しかし山口県の東部・岩国方面はかなりの被害があったようである。テレビでは錦帯橋の下を流れる錦川の様子を報じていていた。橋脚の半ばに達するほどの増水した川水の流れは、確かに猛烈な降雨を物語るものであった。ところでこれまで毎日朝早くから姿を見せていた子蛙は、18・19・20と3日連続して来なかった。このような人間以外の生物には特別な天候予知能力があるのかと思う。そこで今日は『子蛙日記』という題はつけないことにした。

 

 アムエイの浄水器を使用し始めたのは、家内の姪がこの企業に関係していて宣伝し勧めるので、家内としては姪を少しでも援助しようと思って使うことにしたようだ。アメリカのこの企業は世界的に有名で、確かに良い製品を作っていると思う。製品は一般のものより多少高価だが、食料から生活用品に至るまで数多くある。

 先に述べた浄水器もその1つである。1年に1度この浄水器の主要な部品を交換する時期が来たが、どうも「たいぎ」でいけない。しかしもう何が何でも交換すべきだと思い、先日姪に電話したらその翌日には荷物が届いた。それから1週間ばかりまた経ったので、今日こそはと思って重い腰を上げてやっと交換作業を終えた。

 家内がまだ生存中は、2人で説明書を見ながら行ったものである。最近歳を取ったせいか何をするにも「たいぎ」である。取り換え作業を終えて私はふと「たいぎ」という言葉について、ここで使う意味と違った意味があるのではないかと思い辞書を引いてみた。電子辞書で『広辞苑』を開いて見てみたら次のように載っていた。

 

 ① それは「たいぎ」にもとる。

 ② 「たいぎ」は大悟の基。

 ③ 何をするにも「たいぎ」だ。

 ④ 「たいぎ」であった。ご苦労様。

 

上にあげた「たいぎ」に当てはまる漢字を、おいそれとは正しく書けないのではなかろうか。

 

 ①は「大義」で「人の行うべき重大な道義、特に主君や国に対してなすべき道」

 ②は「大疑」で「大いに疑うこと」

 ③は「大儀」で「めんどうくさいこと、骨の折れること」

 ④も「大儀」で「他人の骨折りを慰労する語、御苦労」

 

 このように発音が同じでも意味の異なる言葉は無数にある。例えば今の年号「令和」の前の「平成」は、『書経』の「地平天成」や『史記』の「内平外成」に由来するようであるが、このほかに「平静」は「落ち着いて静かなこと」だとはすぐわかるが、「兵制」は「兵備に関する制度」、「兵勢」は「軍隊の勢力」、「弊政」は「弊害の多い政治。悪政」と色々辞書に載っている。このように言葉を発音しただけでは、直ぐには正しい漢字が頭に浮かばない場合がある。従って正しい日本語を少しでも多く、また出来るだけ早く学ぶことは、日本人として大事である。今のように漫画コトバやカタカナ英語が氾濫していては、これらの流行語は年寄りには恐らく理解しがたいだろう。私自身そうだから。言葉はその国の文化の基であり非常に重要なものである。「言葉を失った国民は必ずその国を亡ぼすことになる」とまで言われている。

 

 「孔子学院」という教育施設が世界各国の多くの私立大学にできているようである。わが国にも14の大学にあると聞いた。これは中国共産党が文化革命で孔子の教えを否定したにもかかわらず、その孔子という世界的に有名な人物の名を借りて、共産思想を各国の若者に浸透させ、その国を骨抜きにさせようという遠大な世界戦略である。「孔子学院」の設立と同時に派遣される教職員に中には、中国共産党のスパイがいるということを察知して、遂にアメリカ政府は今や全面的にこの学院閉鎖の処置を講じていると聞いた。

 孔子時代の中国の良き文化の1つである儒教の精神、つまり人間としての行うべき道を教えようという目的ではなく、全く異なる政治的政策のようである。こういったことはわが国のマスコミなどでは絶対に報道しない。

 

 私はたまたまネットを見たら、自民党有村治子議員がこの問題を取り上げて、文科省に質問していたのである。この有村議員は女性であっても、実に歯切れのいい言葉ではっきりと核心をついた質問をしていた。私は彼女の国会での様子を見て、その姿勢から日本の国益のためという気持ちが良く伝わり、好感の持てる議員だと知った。まさに男性議員顔負けである。聞くところによると、与党議員の中にさえ、媚中派つまり中国共産党に媚を売っている者が多くいるということだから困ったことだ。要するに金が手に入り権力の座にしがみついて居られたら、日本の将来のことなどうなっても構わない、とでも思っているのではなかろうか。

 

 試みにネットで「孔子学院」を見てみたら、次のように書いてあった。

 

 「孔子学院」は中華人民共和国が提案したプロジェクトで、海外の大学などの教育機関と中国の大学などが提携し、中国語や中国文化の教育及び紹介、中華人民共和国との友好関係醸成を目的とする中国語教育機関である。

 

 ところが先に述べたように、今やこれは中国共産党プロパガンダ機関ということが明るみに出たようである。

 

 女性であってもこの有村議員や高市早苗議員のような憂国の士が1人でも多く誕生するように、国民の多くが政治にやはり目を向けなければいけない。私はここ最近我が国の幕末維新の頃のことに関する本を読んでいる。あの激動期、攘夷か開国かで揺れ動いたとき、勝海舟など真に日本の事を思う政治家が出た。今の日本には果たして命を投げうってでも国のために尽くそうとする優れた政治家がいるだろうか。マスコミは先に暗殺された安倍総理の事を貶める発言を繰り返し、国葬反対を言い続けているが、安倍氏に対してはは毀誉褒貶があるものの、本質的には彼は国の将来を憂う政治家ではなかったろうかと私は思う。これは今後の歴史が証明してくれるだろう。

 それにしても中国人は一面偉い面がある。何事も「百年の計」というか、「戦わずして勝つ」という「孫氏の兵法」を実行している。私はこういった今の中国の政策を良いとは思わないが、李白杜甫、さらに陸游などの詩はこれからもまだまだ学びたく思うのである。20年ばかり前にシルクロードの1部を旅をしたが、今にして思えば本当に懐かしい良き旅であった。

 

                           2022・9・21 記す