yama1931’s blog

長編小説とエッセイ集です。小説は、明治から昭和の終戦時まで、寒村の医療に生涯をささげた萩市(山口県)出身の村医師・緒方惟芳と彼を取り巻く人たちの生き様を実際の資料とフィクションを交えながら書き上げたものです。エッセイは、不定期に少しずつアップしていきます。感想をいただけるとありがたいです。【キーワード】「日露戦争」「看護兵」「軍隊手帳」 「陸軍看護兵」「看護兵」「軍隊手帳」「硫黄島」        ※ご感想や質問等は次のメールアドレスへお寄せください。yama1931taka@yahoo.co.jp

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

杏林の坂道 第十三章「硫黄島からの手紙(前編)」

(一) 遠路広島まで芳一を訪ねたものの会うことが出来なかった惟芳と幸は、残念というか、空しくも寂しい気持ちで村に帰った。その後直ぐに芳一は両親に詫び状を書いたのである。この手紙を受理した後音信がぷっつりと切れた。およそ一ヶ月後の八月十日に待…

杏林の坂道 第十四章「硫黄島からの手紙(後編)」

(一) 萩中時代全校生徒は、松陰精神をもって教育された。芳一と同期(昭和七年卒)の渡辺観吾氏の言葉が『山口県立萩高等学校百年史』に載っている。 当時萩中では時々、吉田松陰先生の事跡について講堂で特別講演が行われたが、その講師は概ね香川政一先…