yama1931’s blog

長編小説とエッセイ集です。小説は、明治から昭和の終戦時まで、寒村の医療に生涯をささげた萩市(山口県)出身の村医師・緒方惟芳と彼を取り巻く人たちの生き様を実際の資料とフィクションを交えながら書き上げたものです。エッセイは、不定期に少しずつアップしていきます。感想をいただけるとありがたいです。【キーワード】「日露戦争」「看護兵」「軍隊手帳」 「陸軍看護兵」「看護兵」「軍隊手帳」「硫黄島」        ※ご感想や質問等は次のメールアドレスへお寄せください。yama1931taka@yahoo.co.jp

2018-12-30から1日間の記事一覧

杏林の坂道 第四章「帰省」

杏林の坂道 第四章「帰省」 (一) 鹿(か)背坂(せがさか)隧道の難工事は、萩町と明木村との境をなす峠の下を掘削することによって始まった。工事が無事終わったのは明治十七年(1884)七月。惟芳はその一年前に生まれた。長さ約180メートル、幅約4.…