yama1931’s blog

長編小説とエッセイ集です。小説は、明治から昭和の終戦時まで、寒村の医療に生涯をささげた萩市(山口県)出身の村医師・緒方惟芳と彼を取り巻く人たちの生き様を実際の資料とフィクションを交えながら書き上げたものです。エッセイは、不定期に少しずつアップしていきます。感想をいただけるとありがたいです。【キーワード】「日露戦争」「看護兵」「軍隊手帳」 「陸軍看護兵」「看護兵」「軍隊手帳」「硫黄島」        ※ご感想や質問等は次のメールアドレスへお寄せください。yama1931taka@yahoo.co.jp

2018-10-28から1日間の記事一覧

杏林の坂道 第十五章「悲運重なる」

(一) 全国民の悲願にもかかわらず、硫黄島は米軍の手中に落ちた。それまで父や夫や息子、あるいは兄や弟が守備隊員となっていた家族は、我が軍の勝利を信じ、身内の無事を祈った。しかし彼我の戦力の差は歴然としていた。米軍に到底太刀打ちできるものでは…