yama1931’s blog

長編小説とエッセイ集です。小説は、明治から昭和の終戦時まで、寒村の医療に生涯をささげた萩市(山口県)出身の村医師・緒方惟芳と彼を取り巻く人たちの生き様を実際の資料とフィクションを交えながら書き上げたものです。エッセイは、不定期に少しずつアップしていきます。感想をいただけるとありがたいです。【キーワード】「日露戦争」「看護兵」「軍隊手帳」 「陸軍看護兵」「看護兵」「軍隊手帳」「硫黄島」        ※ご感想や質問等は次のメールアドレスへお寄せください。yama1931taka@yahoo.co.jp

2018-12-09から1日間の記事一覧

杏林の坂道 第十一章「惟芳と息子たち」

(一) 宇田郷村には川と呼べるものが二つある。その一つ宇田川は村の長い海岸線の中央あたりに位置し、海岸線に対してほぼ直角に流れている。この海岸線に沿った県道と、川の左岸の小道だけはやや平坦である。小道は上流に向かって一キロばかりのびている。…